オートミール新・解体新書

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ここ最近、オートミールが流行ってますよね!TwitterのタイムラインやInstagramのストーリーにはオートミール に関する投稿が増えて、レシピサイトでもオートミールを使ったレシピが増えてきました。

世の中、空前のオートミールブームが起きているのかもしれません。

ただ、オートミールがなぜ体に良いのか、ダイエットに良いのかを知らずに食べている人も多いのではないでしょうか。

今回は、改めてオートミールの魅力に迫る、オートミール新・解体新書です。

 

 

オートミールとは

イネ科に分類される燕麦エンバク)という穀物脱穀して乾燥し、粗挽きにしたものをオートミールと言います。

全粒穀物なので小麦などの精白された穀物よりも栄養豊富であり、野菜などと比べても食物繊維が豊富に含まれていることが特徴です。

エンバクは英語表記では「oat」と表記されるので、オーツ麦と言われることもあります。

水や牛乳、豆乳などでグツグツと煮てお粥のように食べることが一般的で、朝食として食べられることが多いです。

他にもクッキーの材料としても使われたりしますが、パン加工には不向きです。

最近では味付けを和風にして茶漬け風にしたり、中華風にしたり、なんかも流行っているそうです。

個人的には梅茶漬けとか、鮭茶漬けにすると美味いのではないかと思っています。

 

 

オートミールはダイエットに良い?

オートミールをダイエット目的で食べている人も多いのではないでしょうか。

では、実際にオートミールはダイエットに向いているのでしょうか。

向いていないのなら、今すぐ辞めてやる!って方もいるかもしれません。でも、安心してください!オートミールはダイエットに向きの食材です。

まずオートミール低GI食品であり、血糖値の上昇が緩やかです。オートミールにはβグルカンという水溶性食物繊維が豊富に含まれいています。このβグルカンは胃の中でゲルを形成してくれるので、ブドウ糖の吸収を遅らせてくれます。

そしてこのゲル化した水溶性食物繊維には、満腹作用もあり、腹持ちが非常に良いことも特徴の一つです。

オートミールを食事に取り入れることで、食後高血糖を和らげることができ、おまけに満腹作用があるというのです。

ダイエットに不向きなわけないですよね。

 

 

オートミールの食物繊維

オートミールの特徴の一つに食物繊維が豊富に含まれていることが挙げられます。他の穀類と比べても圧倒的に食物繊維の量が多いことが分かります。

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オートミール100g中の食物繊維量は9.4gで、キャベツ(100g中○g)と比べても圧倒的に多いのです。

そして、食物繊維の中身も重要です。

食物繊維9.4g中、水溶性食物繊維が3.2gも含まれています。これは穀物の中でトップレベルの含有量です。(1位は大麦で6.3g)

水溶性食物繊維は私たちの便の硬さを調整してくれたり、腸内細菌のエサとなって短鎖脂肪酸を作り出してくれます。

オートミールには現代の食物繊維不足を補う役割も持っているのです。

 

 

オートミールの豊富な栄養価

オートミールには食物繊維以外にもビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。

特筆すべき栄養素をいくつか挙げておきます。

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白米や小麦粉で作られた食パンを食べるよりも、オートミールを食べるだけで、ビタミンやミネラルも追加で補給できるのは嬉しいですよね!

特にマグネシウムは筋トレをする人にとっては嬉しいミネラルの一つです。神経や筋肉が効果的に働くのを助けてくれる栄養素です。

痙攣を防いでくれるような役割があるので、トレーニーにはおすすめの栄養素です。

 

 

オートミールグルテンフリー?

アメリカやヨーロッパではオートミールは朝食の定番。そして、グルテンフリーダイエットとしても、オートミールが活用されています。

実際にオーツ麦自体はグルテンフリーです。パンの加工に不向きなのはグルテンが含まれていないからです。パンのふわふわの主成分はグルテンなのです。

しかし、オーツ麦自体はグルテンフリーでも、製造工程の中で混入してしまう場合があります。

小麦と同じ施設で処理される場合が多いため、そこで小麦製品が混入してしまう可能性があ流のです。

厳密にグルテンフリーをしたい!という方は、処理工程を小麦を分けているかどうかを基準に選ばれるといいと思います。

ただ、グルテンに過敏なセリアック病の方でも、ほとんどの方はオートミールを食べても問題ないことが報告されているので、そこまで心配されることもないと思います。

 

 

オートミールのβグルカン

エンバクにはβグルカンという、水溶性食物繊維が豊富に含まれています。

近年ではこのβグルカンの健康効果が多数報告されています。

・血糖値の上昇を緩やかにする

・腸内環境を整える

・血中コレステロールを正常にたもつ

・内臓脂肪の減少

・便秘の改善

・ダイエット効果

・抗アレルギー作用

・免疫の活性作用

 

 

まとめ

今までオートミールについて深く知らずに食べていた方も、少しは理解が深まってくれると嬉しいです。

ただの炭水化物源ではなく、ビタミンやミネラルも摂取でき、ダイエット効果もあり、便秘改善や血糖値のコントロールなど色々な健康効果が報告されています。

まだ、食べたことないよ!って方は一度取り入れてみてはいかがでしょうか。

では、また今度!

 

 

筋トレの後ゴールデンタイムはもう古い!?タンパク質はいつ摂るべき?

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筋トレを始めたときにぶち当たる問題の一つに、いつタンパク質を摂取するとかというものがあります。

よく耳にする説としては、筋トレ直後のゴールデンタイムに摂取すべし!というもの。

もちろん、筋トレ直後のプロテイン摂取は欠かせません。ですが、それで満足してしまってはもったいない、という話を今回は紹介します。

 

ゴールデンタイムはなぜ大事なのか

みなさんがよく耳にするゴールデンタイムが重要なことには変わりありません。

決して、ゴールデンタイムを否定しているわけではないのです。

これは運動強度によらず、疲労困憊になるまでトレーニングを行った結果、トレーニング後1〜3時間が最も筋肉の合成感度が高まることが報告されているからです。

この時間帯にタンパク質を補給することができれば、筋合成を効率的に行うことができると考えられています。

引き続き、ゴールデンタイムのタンパク質摂取は続けていきましょう!

 

筋肉の合成感度は持続する

そして、ここからが新しい考え方、筋トレの新常識になります。

筋トレ後の筋肉の合成感度は、筋トレ直後に最大化することに変わりありませんが、少なくとも24時間は合成感度が高いまま維持されるという報告がなされています。

つまり、今まではゴールデンタイムのタンパク質摂取が常識でしたが、これからは『筋トレ後24時間はタンパク質を摂取する』が新常識になります。

今まで、筋トレ後はタンパク質を意識していたけれど、翌日の朝食や昼食でタンパク質を疎かにしていた、という方は24時間の継続的な摂取を心がけましょう!

ただし、これには条件があります。

レーニングの強度は高強度でも低強度でも構いませんが、疲労困憊になるまでトレーニングを行う必要はあります。

軽い運動では24時間もの間、筋肉の合成感度が高まることはないのでご注意ください!

 

まとめ

今回は筋トレ後のタンパク質摂取に関する新常識でした。

こんなのは当たり前で普段から意識していたよ!って方もいるかもしれません。でも改めて、研究として報告されていると思うと、普段のルーティンに確信が持てますよね!

これから筋トレを始めようと思っていた、始めたばかりだった、という方は筋トレ直後のゴールデンタイムだけでなく、筋トレ後24時間のタンパク質摂取を意識してみてください。

最適なタンパク質摂取量については、今度紹介していきます!

では、また今度!

筋肥大には重量ではなく総負荷量が大事だという話

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筋トレ歴は3年ほどですが、ここ最近はトレーニング人口が急激に増えてきたなと感じています。

ほとんどの人が筋肉を大きくしてカッコいい体を手に入れたいという思いで筋トレを始めていると思います。もちろん、競技でのパフォーマンス向上のためにという方もいるとは思いますが。

そんなときに悩むのが、どうやったら効率的に筋肉を大きくすることができるのか。

今日は筋肉を大きくする、つまり筋肥大をする上では、ダンベルの重量ではなく総負荷量が大事だよ、という話をします。

 

総負荷量とは

総負荷量とは以下のように定義されます。

『総負荷量』=『重量』 x『 回数』 x『 セット数』

つまり、単に重量だけではなくて、回数やセット数も考慮しましょう!という考え方です。

これに則って考えると、

ベンチプレスを100kgで5回 1セットすると総負荷量は500になります。

一方で80kgで10回 1セットすると総負荷量は800になります。

100kgよりも80kgの方が総負荷量は大きくなるという計算です。

 

これからは総負荷量が主流になる

さて、筋肥大においては単に重い重量でトレーニングすることよりも、総負荷量を高める方が効果的であるという報告が多数なされています。

同じ重量、同じ回数でも、多くのセット数をこなした方が筋肥大には有効ということです。

また、低強度トレーニングでも回数とセット数を増やすことで、総負荷量を高めることができ、筋肥大に有効であるということです。

低強度であっても、回数とセット数を増やし追い込むことで、より多くの筋繊維を動員することが可能になるのではないかと推測されています。

 

まとめ

マッチョな人が重い重量でトレーニングをしているから、自分も同じくらいの重量でトレーニングすれば筋肥大するのではなと考えるかもしれません。

でも、初心者が重い重量でトレーニングすることはケガの原因になり、総負荷量を高めることも難しいので、筋肥大には非効率的です。

自分が丁寧に扱える重量を見極めて、回数とセット数を増やして総負荷量を高めましょう!

それが怪我の予防にも、筋肥大にも有効なのです。

では、また今度!

 

 

僕が栄養学に興味を持った理由

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こんにちは、とっくんです。

 

筋トレ歴は3年ほどです。

1年前に栄養学に目覚めてから、暇さえあれば栄養の勉強をしています。 

 

さて、先日に下記のツイートをしました。

 

僕が栄養学を勉強する理由はこれに尽きます。

みんな栄養学について正しく知るべきだと思っています。

今回は僕が栄養学を学ぶ理由について解説していきます。

 

 

朝起きるとベットから起き上がれなかった

去年、初めてベストボディジャパンにチャレンジしました。

人生初の減量に手探りでチャレンジしたのです。

 

減量が終盤を迎えたある日の朝、僕はベットから起き上がることができませんでした。

全身を襲う極度の疲労感や倦怠感。

心の底から動きたくないと思いました。

筋肉痛はないのに、本当に起き上がることができなかったのです。

 

減量でカロリー制限をしているからだ!と思うかもしれません。

確かにそれもあるかもしれませんが、それだけではない気がしました。

 

カロリー不足だけで、こんなにも動けなくなるものだろうか。

自分の体の中で、一体何が起きているんだろうか。

大学で再生医療の研究をしていたこともあり、ただのカロリー不足と片付けずに生物学的にきちんと調べてみることにしました。

 

そして、ただのカロリー不足ではなく、人体を動かすための栄養素が足りなかったという結論に至りました。

 

 

三大栄養素だけでは不十分

筋トレを行うトレーニーたちは、自分たちの食事をPFCバランスで管理します。

1日に摂取するカロリーを決めて、そのカロリー内に収まるように、

Protein(タンパク質)、Fat(脂質)、Carbohydrate(炭水化物)

をどれくらい食べるのかを振り分けるのです。

 

減量中の僕も、このルールに従って食事を管理していました。

しかし、ルールに従った結果として僕は動けなくなってしまったのです。

 

調べていくうちに、三大栄養素だけでは不十分だということに気がつきました。

たしかに、三大栄養素は体のエネルギーにはなります。

しかし、三大栄養素以外に、体には生きていく上で重要となる栄養素がたくさんあったのです。

近年では、7大栄養素とも言われていることをご存知でしょうか。

 

 

これからは7大栄養素

7大栄養素とは上記の三大栄養素に加えて、

ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカルの4つを加えたものです。

 

ビタミンやミネラルはみなさんご存知の通り。

ビタミンAとかビタミンCとか鉄とか亜鉛とかです。

これらは生体機能を維持する上で非常に重要な役割を果たしています。

 

例えば、ビタミンAは目の栄養素と言われています。

ビタミンAは体の中でロドプシンという色素の材料になります。

ロドプシンは私たちが目が見える仕組みに関わっているので、ビタミンAが不足すると目が疲れやすくなったり、夜盲症になったりします。

 

その他のビタミン、ミネラルも僕たちが生きていく上で必要な機能に関係しているのです。

 

そして食物繊維は僕たちの便の材料になり、腸内環境を整えてくれる役割があります。

腸内環境の乱れが、精神疾患認知症、アレルギー、肌荒れなど様々な疾患との関連が認められており、とても大事な栄養素の一つです。

 

最後にファイトケミカル

ぶどうに含まれているポリフェノールや、トマトに含まれているカロチノイドが該当します。

植物は自分で動くことができません。

そのため、強烈な紫外線から身を守るために作り上げた色素がファイトケミカルです。

ファイトケミカルは抗酸化力が強く、人間の体が錆び付くのを防ぐ役割を持っています。

 

それぞれの詳しい説明については、別途ブログで解説していきます。

 

 

健康こそ最高の投資である

日本人の平均寿命は世界的にも高いことは知られています。

しかし、健康寿命で見てみると男性ではマイナス9歳、女性ではマイナス12歳くらいです。

健康寿命とは健康上問題なく日常生活を送れる年齢のことを言います。

つまり、日本人は長く生きるけど、最後の10年ほどは病気だったり、寝たきりだったりするのです。

 

人生100年時代と言われていますが、最後の10年間が寝たきりってどうですか?

僕は嫌です。死ぬまで元気でいたいですよね。

 

病気は突然起きるものではありません。

20年、30年という長い生活習慣の中で、ダメージが蓄積されて発症するものです。

生活習慣病は、過去の自分の生活習慣の結果として現れるものなのです。

 

そして、生活習慣病などは医療費が高いことでも有名です。

自己負担が3割だとした場合に、

ほどの医療費がかかると言われています。
(出典:公益社団法人全日本病院協会「医療費」)

 

若いうちから健康に投資することは、結果として最高の投資になると思っています。

僕は多少お金がかかっても、食事や生活習慣には人一倍気をつかっています。

 

 

健康は知識である

僕は、健康は知識によってもたらされるものだと思っています。

自分が食べているものは、体にとってプラスのものなのか。

それともマイナスのものなのか。

それは知識がないと判断することができません。

 

普段、何気なく食べている食品は安全だと胸を張って言えますか?

体にとって必要な栄養素を抜け漏れなく摂取できている自信はありますか?

 

着る服や履く靴には気をつけるのに、食事に気を使わないのはなぜでしょうか。

それは、何が良くて、何が悪いかを知らないからだと思います。

 

人は食べたもので作られます。

私たちの体は何もないところから作られるわけではなく、

普段何気なく食べている食事を材料に作られているのです。

 

みなさんが仮に家を建てるしたら、腐った建材を家を建てたいですか?

そんな家は台風が来たり、地震が来たら、一瞬で崩壊してしまいます。

 

体も同じだと僕は思っています。

正しい栄養を摂らないと、疲れた時や、ウイルスが侵入したときに

体調を崩したり、病気になったりしてしまうのです。

 

 

だから僕は栄養学を学ぶ

自分が病気になるも、ならないも自己責任です。

間違った生活習慣を送った結果として病気になっても、誰も責任を取ってくれません。

 

健康に気を使うのは30歳を超えてからとか、40歳を超えてから、という方もいます。

しかし、20代の生活習慣は体にダメージとして確実に蓄積されています。

そして10年、20年という長いスパンをかけて、病気として現れるのです。

 

世の中には間違った健康情報もたくさん流れています。

健康になると信じていたものが、実が間違っていた!なんてこともあります。

だからこそ、正しい知識を見つけて、健康で生きていくために、栄養学を学んでいるのです。

 

 

おわりに

今回は僕が栄養学を学ぶ理由についてでした。

みなさんも、何かしら好きなことがあると思います。

僕は好きなことの一つが、たまたま栄養学だっただけです。

 

このブログを読んでくれる方が少しでも健康になっていただけると幸いです。

では、またお会いしましょう!

 

高タンパク食は腎臓に高負担なのか?

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トレーニーにとって、タンパク質は欠かせない栄養素ですよね!

体重1kgあたり2g以上食べた方が良いとか、除脂肪体重1kgあたり3gが良いとか。

何が本当に正しいのか分からないまま、自分に合うのはどれくらいかな?と手探りで調整している方も多いと思います!

 

タンパク質を沢山食べて、その分だけ筋肉つけば良いと思いますよね。

僕もそう思います(笑)

ただ、その時に気になるのは、タンパク質を大量に食べても、体に影響はないのか?ということ。

今回は、高タンパク食が腎臓に影響を与えるのか?について紹介します!

 

 

なぜ高タンパク食は賛否両論あるのか?

高タンパク食は体に良いのか、悪いのか、本当のところは分かっていません。

真実はいつも一つ!なんですが、迷宮入りの難題です(笑)

 

では、なぜ体に良いのか、悪いのかが明確になっていないのか?

普通に考えると、高タンパク食を食べ続けた人たちと、そうでない人たちで実験をして確かめれば良いじゃないか!と思いますよね。

これは「介入研究」と言われているものです。

 

でも、介入研究によって腎機能と高タンパク食の関係を実験で確かめることは、倫理的にできないのです。

なぜなら、体に悪影響があるかもしれない高タンパク食を、人で実験するなんて人道的に許されないですよね。

もし仮に、その実験で高タンパク食群の人たちの腎機能が低下して、人工透析が必要になってしまった!なんてことになればシャレになりません。

 

だから、高タンパク食が体にいいのかを動物で実験することはできても、人で実験することは難しいのです。

 

というわけで、高タンパク食が体に影響を与えるかどうかは、明確に分かっていないのです。

 

 

そもそもなぜ腎臓に負担を与えると言われているのか?

腎臓の主な役割は血液を濾過して、不要になった老廃物や塩分を体外へ尿として排出することです。

濾過の役割を果たしているのは、「糸球体」と言われているもので、一つの腎臓に100万個ほど存在しています。

心臓から運ばれてきた血液は、この糸球体で濾過されて、綺麗になった血液が再び体内を巡るわけです。

 

この糸球体で濾過された原尿には、アミノ酸ブドウ糖、ミネラル、なども含まれています。

実はこの原尿の99%は尿細管で再吸収されて、体内の水分量の調整、イオンバランスの調整、体内pHの調整などを担っているのです。

 

腎臓は1分間に1Lもの血液を濾過すると言われています。

そのため、血液中のアミノ酸が増えると、糸球体が忙しく働くことになります。

こういった背景から、高タンパク食は腎臓に負担をかけるのではないかと言われているのです。

 

 

長年の議論に一石を投じた研究

 

腎機能と高タンパク食の関係について、介入研究で確かめることは倫理的に難しいことは説明しました。

そこで、科学者たちは「コホート研究」によって、その関係性を評価してきました。

コホート研究とは

現時点(または過去のある時点)で、研究対象とする病気にかかっていない人を大勢集め、将来にわたって長期間観察し追跡を続けることで、ある要因の有無が、病気の発生または予防に関係しているかを調査します。

出典:国立がん研究センタ(https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/cohort_study.html

このコホート研究によって、腎機能と高タンパク食の関係について、少しずつ分かってきています。

 

2011年にアメリカの研究グループが、腎機能が正常な女性3121名を11年間追跡調査しました。

この研究では、タンパク質の摂取源を

  1. 赤身肉や加工肉が中心の西洋的な食事
  2. 魚や白身肉、豆類などが中心の食事
  3. 野菜や果物が中心の食事

の3つのグループに分けて、腎機能との関係を評価しています。

結果として、「赤身肉や加工肉が中心の西洋的な食事が最も腎臓病の発症リスクが高い」ことが示されたのです(Lin J et al., 2011)。

 

また、2017年にはシンガポールの研究チームが、男女63,257名を対象に平均15.5年間の追跡調査を行いました。

その結果として、「赤身肉の日常的な摂取が腎疾患のリスクを上昇させる」ことが示唆されたのです(Lew QJ et al., 2017)

 

こういった研究報告を受け、ドイツの研究グループが

「赤身肉や加工肉が腎機能の低下に繋がる可能性があり、白身肉や豆類などのタンパク源は影響はない」

との論文を発表しています(Kamper AL et al., 2017)。

 

つまり、結論としては、

  • 牛や豚などの赤身肉、加工肉は腎機能の低下につながる
  • 鶏肉、魚類、豆類などは腎機能の影響が少ない

ことが示唆されています。

 

特に、加工肉に関しては死亡率やその他疾患との関連も示唆されている報告もあるので(Piet A, 2019)、なるべく避けた方がいいかもしれません。

 

ただ、コホート研究などは絶対的な相関を示すものではなく、マスのデータとして相関があったよ!と示すものなので、万人に当てはまる訳ではありません。

 

ご自身の体調と相談しながら、普段の食事に気をつけると良いのではないでしょうか。

 

 

 

参考文献:

1) Lin J et al., Am J Kidney Dis. 2011 Feb;57(2):245-54
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21251540

2)  Lew QJ et al.,J Am Soc Nephrol. 2017 Jan;28(1):304-312
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27416946

3) Kamper AL et al.,Annu Rev Nutr. 2017 Aug 21;37:347-369
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28637384

4) Piet A, Eur J Epidemiol. 2019; 34(4): 351–369
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6451725/